2024年3月19日火曜日

 薄曇りの火曜日。

 近所のカフェで昼ごはんにスコティッシュ・フルブレックファストを食べる。スコットランド名物のハギスなるものを始めて食べる。独特の風味の柔らかいソーセージだった。フル・ブレックファストを食べるのは楽しいのだけれど、肉と油ばかりなので、後で胃にくる。

 現地の学生たちと会う。カルテジアンの青年に「僕の友達とすごく似ている、服装とか髪型とか。その人は今は京都大学にいるんだけど」と言われたりする。散髪をほどほどにさぼって当たり障りのない薄手のパーカーとチノパンにスニーカーの人ということなら、大抵どこにでもまあまあいるのではないでしょうか。たぶんきっと京大にもいると思う。

 図書館に案内してもらう。大きい図書館だ。情報としては知っていたけれど、実物は手に取ったことのなかった本たちがたくさんあるから、初めての図書館は楽しい。日本語の本のコレクションもあるとのことで見てみたのだけれど、そこそこ古い官公庁発行の白書、島木赤彦全集、大判の西洋美術の本などが雑多に並んでいて、選書方針があまり見えてこなくて逆に面白かった。

 コーヒーを飲みながら日本の哲学・思想を研究している若者たちと話す。僕の適当イングリッシュがどれだけ通じているのかよくわからないが、まあぼちぼち。「日本ではドゥルーズが人気だ」と言ったら「あんな難しいのに、どういうことだろう。翻訳が良いのだろうか」と不思議がられた。「ニューアカデミズムというものが1980年代にあってー」とか説明したのだけれど、結局のところ、「みんな難しくてよくわかんないと思いながら、でも読むんだよー」と言うに尽きる。日本の思想だって、難しくてよくわかんないけれど、なぜか我々は読んでいるわけだから。人それぞれ「難しくて読めないもの」と「難しいけれど読めるもの」があって、自分が「難しいけれど読める」ものを研究していくのだと思う。