2024年3月17日日曜日

 雨の日曜日。
 昨晩は妙に右肩が痛くて何もできず、早く寝てしまった。その代わりに朝4時に起きている。

 イギリスに行けばおいしい紅茶を飲めるかというとそんなことはない。自分でちゃんと紅茶をいれることができないため、紅茶生活の質は大幅に低下している。趣味と旅は両立しないと割り切るしかない。帰国してからロシアン・キャラバンを祖父と一緒に飲むのを楽しみにしてやり過ごす。

 室内にいたら気が付かなかったけれど、外に出たら雨だった。フードを被って街をそそくさと移動し、バスに飛び乗り、電車に乗り換えてガトウィック空港へ向かう。ロンドンはオイスターカードを買ってしまえば、あとは公共交通機関が使いやすい。

 ロンドンは開発が速い分、バリアフリー対応等はできていなくて階段の多い印象がある。そういう意味では難しい点も多そうだ。

 ガトウィック空港で英国ではおなじみだという日本風料理店wagamamaに行く。チェーン店の英国カツカレーを食べてみたかったのだ。食べてみて、僭越ながら、もう少しよいカツを使ってほしいし、もう少しカレーも工夫してほしいと思いました。

 小さい飛行機でエディンバラまで飛ぶ。機内でうつらうつらしていたら着く。

 空港からバスに乗ってエディンバラ市内へ。街中にドーンと岩山があり、その上に城がある。いかつい。エディンバラは坂の街でアップダウンが大きい。
 

2024年3月18日月曜日

 晴れの月曜日。エディンバラは非常にコンパクトな街であらゆるものが歩いてすぐの距離にある。急な坂を切り開いて造った狭い街であるエディンバラと、平らで街が大きく広がるロンドンとでは性格が大きく異なるみたいだ。

 アリス・マンローの「キャッスル・ロックからの眺め」のキャッスルロックはエディンバラ城の城山のことだったと思い出し、ちょうどすぐそこなので行ってみる*1。大変眺めが良い。街全体からリースの海まで見える。「キャッスル・ロックからの眺め」かとしみじみ感じて満足した。エディンバラ城の建物や展示も面白いのだけれど、僕は街から海まで一望出来たことが最も良かった。

 キャッスル・ロックは風が強かった。キャッスル・ロックにそびえるエディンバラ城スコットランド王家が住んでいたはずなのだけれど、こんなに風の強いところに住むのは大変だろう。たまたま今日は風が強かったというだけならいいけれど、これが毎日だったら困るだろう。

www.shinchosha.co.jp

*1:マンローの「キャッスル・ロックからの眺め」は新潮クレスト・ブックスから出ている『林檎の木の下で』に収録されている短篇で、原書の表題作。マンローの小説はすばらしいので(なんたってノーベル賞作家ですから)、読んだことのない方はぜひ。

2024年3月16日土曜日

 晴れの土曜日。時差ボケで早く目が覚める。

 朝ご飯を食べてロンドン散策に出かける。平らで歩きやすい街である。ハイド公園からバッキンガム宮殿へとぶらぶら回る。ランニングをしている人も多い。ザ・マルではペリカンたちがバッキンガム宮殿の方向に行進していた。セント・ジェームズ・パークに池に住んでいるペリカンたちのようだ。宮殿の前でウェストミンスターカテドラル、ウェストミンスター寺院へ。ウェストミンスター寺院はAbbyであり、そして何よりお墓であった。南無南無と言いたくなるけれど、国教会の寺院で言うものでもない。

 テムズ川を眺めてぶらぶら歩いていたらお昼時になる。シャーロック・ホームズなるいかにもな名前のパブがあったので入る。キッチンはまだ準備中だから少し待てと言われ、紅茶を飲みながら待つ。ここで手元にホームズでもあればいいのだろうけれど、生憎あるのは英国文学でも『シルマリルの物語』である。読みながら待つ。ステーキアンドエールパイなるものを頼んだら焼いたキャベツとビーフシチュー入りのパイが出てきた。パイは小麦粉の粉っぽさが目立ち、美味しくはない。英国生活は厳しい。

 適当に近くの教会やらサマセット・ハウスの巨大なキティちゃんなどを見ながら歩き、ストランド通りにあるトワイニングの本店に行く。すごく小さいけれど品揃えが多い。その昔に祖父が「これはすごいぞ、ロッシャン・キャラバンや」と言いながらいれてくれたロシアン・キャラバンもある。茶葉2つ分の料金で3つ買えるとのことで、ロシアン・キャラバンなどを3つ買う。そこから少し北に上がってデビッド・スーシェ版のポワロの自宅があるという設定になっていたマンションを見に行く。もちろん現役のマンションだから観て写真を撮るだけ。その近くに修道院売店でイギリスの歴代の王・女王が記された定規が売っていたのでこれは祖父のお土産にする。自分用も合わせて2つ買う。シティの銀行街を抜けてロンドン橋へ。ロンドン橋は落ちなさそうなコンクリートの橋であった。ロンドン橋で向こう岸に渡って、タワーブリッジでこちら側に戻る。タワーブリッジは趣のある分、人が多い。ロンドン塔へ向かう。あまりよく知らなかったのだけれど、ロンドン塔は長きに渡って様々な役割を担ったイギリスの要衝だったらしい。見所の多いところだった。カラスがシンボルらしいのだけれど、カラスが人間に慣れきっていて、人とカラスが並んで記念写真を撮っていた。

 ロンドン塔からロンドン・ブリッジ駅まで戻り、満員の地下鉄に乗って帰る。食欲もあまりないので、駅の売店で買ったスパークリングウォーターとサンドイッチで済ます。よく歩いた。

 しかし昔のように石造りの装飾の多い大きくて古そうな建物というだけでは驚かなくなってきていて、自分もそろそろヨーロッパの石造りの町並みに慣れてきたのだと思う。

2024年3月15日金曜日

 晴れの金曜日。

 不安で寝付きが悪い。準備はしたから大丈夫だと思うのだけれど、不安が残り、うまく寝られない。

 不眠の人は常にこれくらいの不安にさらされているのであるかと思い、その生の厳しさの一端に触れたような気もするが、それは私の傲慢かもしれない。

 イギリスへと出発する。まずは関空へ。先週の高野山行きに続いての南海電車だ。こんな頻繁に南海に乗ることはあまりない。飛行機が遅くなった分、ラピートに乗らないで済むことになった。まだラピートには乗ったことがない。

 人の多い関空を抜けて上海へ。機内食が出たけれど、お腹が空いていなくて全部は食べられなかった。機内食をつまんでいる時間以外はだいたい寝ていた。

 上海に着く。ここでは時間がないから速やかにトランジットする。空港の人に「London?」と聞かれるので「ロンドン、ロンドン」と答えると胸元にピンクのシールを貼られる。お急ぎの人のマークらしい。手荷物検査も優先ルートに回されるのだが、中国の手荷物検査は厳しいから時間がかかる。今回は「リュックにペンを入れている」とのことでやり直しになった。搭乗時間の少し前にゲートにたどり着き、無事に搭乗する。大陸に別れを告げてブリテン島へ向かう。機内食やらパンやらがたくさん出るのだけれど、そんなに食べられない。

 ヒースローに着く。フラフラ歩いていたら電車の駅に誘導される。オイスターカードなるイギリス版ICOCAみたいなものを買って乗る。地下鉄で行こうと思っていたのだけれど、もう疲れたので眼の前に停まっていたエリザベスラインに乗ってしまう。さっさとホテルまで行きたい。

 パディントン駅でくまのパディントンの像の、ベーカーストリート駅でシャーロック・ホームズ像の写真を撮りホテルへ向かう。ホテルの部屋のシャワーからお湯が出なかったから今日はもうダメだ。

2024年3月14日木曜日

 晴れの火曜日。仕事を片付けて、ホワイトデーらしくチョコレートとプリンを買って帰る。病院に行っていた妹が、検査の数値がよかったとのことで、機嫌よくアップルパイを買ってきていたのでお菓子の多い家になる。上等な紅茶を入れていただく。

 明日から出張なので荷造りをする。だいたい海外に行く前はばたばたする。深夜になって飛行機の出発が少し遅くなるとの連絡が届く。少し朝ゆっくりできる。

2024年3月13日水曜日

 晴れの火曜日。

 突然押しかけるように送ったメールにお返事がある。大変ありがたい。

 ネパールのお土産や部屋の整理をしたら出てきたものなど、いろいろと頂く。紅茶もいただけるらしい。これまたありがたい。

 思いもよらぬ人が結婚されたと聞いてみなで驚く。写真を見せていただくと、紋付き袴と文金高島田(たぶん)の結婚写真を拝見する。おめでとうございます。

 旧友が福井から来てくれたのでみなで鍋をつついて歓談する。来てくれてうれしい。楽しい夜だった。

2024年3月12日火曜日

 雨から曇りの火曜日。

 人文科学の専門家なら人の心がわかるだろうと期待されている節があるのだが、そんな魔法みたいなことができたらこんなことになっとらんですがな。

 人の心がわかりたいかと言われると、特にわかりたくもないというか、だって人の心の中なんてねえ。他人が毎日使い込んでいるスマホを渡されても使いたくないし、中身も見たくない程度には、他人の心なんて覗きたくない。見ても碌なことにならんやろうし。これまで通り、あなたは僕に伝えたいと思ったことだけを表現してくれれば、それで十分だと思う(僕に重大な損害を与えるような隠し事をしているのでなければ)。そもそも人間は表現されたものさえも十分に理解できていないのだ。僕はあなたが表現したものを十分に理解し、円滑に生きていけるように努める。それだけで十分でしょう。心というものは表現から遡行して推定されるものでしかないから、表現と解釈の研究に徹すればよいと思うのだ。

 出張先で話す準備を慌てて進めている。来年度日本の近代について授業をする予定になっているので、そのプロトタイプを話す。ざっくりと近代文学と哲学の接続をします。