2024年4月19日金曜日

 晴れの金曜日。

 乗代雄介「生き方の問題」読了。この短編を読み終えるまでに数ヶ月かけてしまっている。ずしんとくるいい作品だった。それだけにいつでも読めるというわけでもなかったから時間がかかってしまった。乗代さんは小説らしい小説を現代風に洗練して書くという離れ業を高いレベルで達成していらっしゃるので本当にすごいと思う。

 ラインで『葬送のフリーレン』スタンプを使いこなしている同期が出身研究室のBBQに参加するとのことなので、僕もOBながら顔を出させてもらうことにする。知人たちが関わっているちょっとおいしそうな日本酒を差し入れでもっていく。僕はお酒は飲めないからよくわからないのだけれど、飲んだ人によるとおいしいお酒だったらしい。よかったよかった。真面目な話から適当な話まで、いろいろと話すことができてよかった。フランスの実証主義スピリチュアリズムについて勉強してみると参考になるかもしれないことがわかった。

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2024年4月17日水曜日

 晴れの水曜日。

 母に『葬送のフリーレン』の漫画を貸している。母からは「エルフって何?ドワーフって何?」といった作中で常識とされている事項をたくさん聞かれる。おかげで現代ファンタジーは結構なハイコンテキストになっているのだと気付かされる。しかし僕もトールキンや子どものころに読んだ20世紀の児童文学ファンタジーは通過しているから多少わかるけれど、最近のゲーム系ファンタジーは触れていないから微妙にコンテキストがわかりきらないところがある。

 自分はほとんどラジオを聞かない。意識的に聞いたのは中高生のころにNHKのラジオ英語だけ。あとは数年に一回くらい甲子園の中継を聞いていることがある。昔はラジカセのチューナーをぐるぐる回しながら雑音の混じったラジオを聞いていたのだけれど、インターネット時代になって音はとてもよくなった。

 ちょうど映画館に近くで仕事が終わり、タイミングも良かったので今さらながら『君たちはどう生きるか』を観に行く。個人的には宮崎駿作品で一番わかりやすかったように思う。奔放な想像力で彩りつつ、全体的にあらゆるものを非常にクリアに表現していた。宮崎監督は表現したいことを曇りなく表現できる境地に達せられたのではないか。最初の階段のシーンから最後の場面までずっと最高だった。
 基本的にはクラッシックな児童文学のフォーマットに則っていたと思う。困難を抱える子どもと継母が古い建物の奥にある別の世界で母と出会い、冒険をして現世に戻り、それぞれの困難を乗り越える。宮崎駿の本領は児童のための作品であることを改めて示した作品だったのではないか。敵がペリカンとインコであるというのは、まさに児童文学的だ。10歳の子どもの頃に一度見て、大きくなってからもう一回見ることができたら幸せだろうなと思う。今、そしてこれからの子どもがうらやましい。王道の児童向け作品で、史上最もハイクオリティで、しかも大人になっても楽しめる。贅沢だ。
 以下雑感をバラバラと。
・炎の映画だったなと思う。戦争の炎が本作前半の課題だったのだけれど、炎をポジティブなものへと書き換えていくプロセスは見事で、この点は火の悪魔カルシファーと戦争の炎が対比されていた『ハウルの動く城』よりもわかりやすかったかもしれない(もちろん『ハウル』には『ハウル』の良さがある。『ハウル』は好きです)。炎のイメージの転換は終盤ではっきりとセリフでも語られていて本当にわかりやすくしているように思った。このはっきりと言明する演出も児童文学的だと思う。
・鳥のふんの映画だったなとも思う。彼らは鳥のふんで汚れる。それが良い。
・キムタクがハマリ役だったと思う。今のキムタクの最も正しい起用方法を見たような気がする。
滝沢カレンもハマリ役だったと思う。ピッタリだ。
・登場人物が最小に抑えられていた。宮崎監督は作中人物を本当に必要なものだけに切り詰めて、スッキリと、しかし奥行きの深いした物語に仕上げていた。名人芸だ。
・建物を描きたかったのだなと思った。日本の伝統的な家屋から洋館、塔の世界の不思議な建物まで、どれもとても面白かった。
・一つだけ何か欠点を上げるなら、もう少し尺があってもよかったように思う。別の世界に行ってからの部分はもう少し長くあってもよかったような気がする。しかし児童が見ることを考えるとこれでいいのかもしれない。
宮崎駿監督の次回作に期待したいと思う。またすごいものが来るのではないかと予感した。

 ほっといてほしがっている人に連絡をして怒られる。すまぬ。
 愛媛と高知で地震があったらしい。心配。

2024年4月16日火曜日

 晴れから雷雨の火曜日。

 新学期になり、曜日を火曜日に移して『善の研究』読書会をする。後に絶対無の自己限定や永遠の今の自己限定として語られる議論の萌芽に当たる部分を読んだので、バチバチ形而上学的な話をみんなでし続けた。結構高度な話をしたと思う。とても頭を使った。頑張った。

 夜は雷雨になる。春雷だ。

2024年4月15日月曜日

 晴れから曇りの月曜日。

 バリツ*1についての本が出たらしいのでちょっとほしいなと思っているのだけれど、近所の本屋では見当たらない。どうもその本はバリツの正体となったと推定される護身術バーティーツの解説書らしい。いつかライヘンバッハの滝で悪党と取っ組み合いをする時に備えて読んでおいた方がいいかな。

 ヴィクトリア朝の家事マニュアルにしてレシピ本こと『ビートン夫人の家政読本』が面白そうだなと思ってインターネットで検索してみたら広辞苑みたいな分厚い本らしくてびっくりした。しかもビートン夫人はこれを23歳から25歳にかけて連載し、その後でまとめて出版しているらしい。ビートン夫人はエディター的な役割を果たしていて、収録されている膨大な料理のレシピなどもほとんどは自分で考案したわけではないらしいけれど、それでもすごいものだ。

 お昼休みに外を歩いたら新入生らしい学生が多くて新年度を感じた。

 同期がラインで『葬送のフリーレン』スタンプを使いこなしている。一方の自分はここ数年ラインのスタンプを全く更新せずに何年も同じスタンプを使いまわしている。このままでいいのだろうか。

 『グレーテルのかまど』「おさるのジョージのバナナチョコレートパイ」を観る。アニメのジョージもいいのだけれど、絵本のジョージもかわいい。

www.heibonsha.co.jp

*1:バリツはシャーロック・ホームズが習得していたとされる日本の武術のこと。ホームズはバリツをかじっていたので、ライヘンバッハの滝でモリアーティ教授と対峙した際に、教授を滝壺に投げ落とすことができたと「空家の冒険」で語られる。ご存知の通り、現実の日本にそんな格闘技はないので長年にわたって謎とされてきた。

2024年4月14日日曜日

 晴れの日曜日。

 エディンバラで買ったトートバッグを洗濯したのだけれど、全然縮んだりシワになったりしなかったからうれしい。いいトートバッグだ。

 わかるようで微妙にわからないテキストを読みながら、その理由を考える。ところどころ肝心なところの説明が引用で代替されてぼやかされているような気がする。

2024年4月13日土曜日

 晴れの土曜日。

 本屋に行って最近出版された『新九郎、奔る』の16巻を買う。この巻では今川家の家督争いの中で様々な思惑が絡まり合い、新九郎が戦場に出ていくことになるになるまでのプロセスが巧みに描かれていた。作者は史実を踏まえながら丁寧に想像力を行使して物語に仕立て上げていて、時代物のマンガとして本当に素晴らしいと思う。

 父の誕生日なので阪神タイガース特集をしている『number』とプロ野球名鑑を買って贈る。プロ野球名鑑は別の版元のものを持っていたらしいので、適宜見比べて楽しんでいただきたい。

 ここ数日毎日買おうと思って毎日買い忘れていたリップクリームとお茶パックをようやく買う。平日はなんだかんだに忙殺されて忘れてしまう。休日になってやっと思い出す。普段から忘れない程度の余裕を持っていたいのだけれど。

shogakukan-comic.jp