2023年9月10-12日帰国日記

 道連れと共に宿から撤収して市街地へ向かう。良い宿だった。またコークに来る機会があれば泊っても良いと思うのだけれど、そんな機会はあるかしら。お昼ご飯のお店を探していると、同じく学会に参加していた大学の別の後輩、バルセロナからきた学生、阪神タイガースのキャップを被ったブラジル人の先生と出会う。ブラジル人の先生は名古屋の人だけれどタイガースファンなのだ。名古屋だから中日を応援しようかと思ったけれど、初めて見に行ったプロ野球の試合で阪神の応援にブラジルと似通うものを感じ、阪神ファンになったとのこと。先生はこのまま優勝はするだろうけど、クライマックスシリーズ日本シリーズは勝てるかな、と懐疑的な見解を持たれていた。この懐疑的な姿勢はまさに阪神ファンである。
 阪神ファンの先生は出発まで時間があまりないとのことですぐに別れる。また会いましょう。4人でアイリッシュブレックファストのお店に行ってランチを食べる。一度フルブレックファストなるものを食べて見たかったのです。たっぷりの紅茶と一緒にお腹いっぱい食べて満足した。バルセロナの人とフェミニズムや政治の話などをして盛り上がる。彼も日本に留学する予定があるらしい。また会いましょう。
 空港に向かう。少し歩いたところで道連れがキャリーバッグをお店に忘れたことに気がついて取りに戻る。途中で「Superdry極度乾燥しなさい」のお店があり、ちょっと買いたくなる。また時間のある時に検討したい。
 バスに乗って空港ヘ向かう。せっかくなので二階建てバスの2階に乗る。バスは暑くてあまり2階を楽しむ感じにはなれなかった。
 空港でアイルランドマグネットを買う。祖父母はよくお土産にこういうものをくれた。
 売店をくるくる見て回ると炭酸スイカジュースなるものがあり、面白そうなので買ってみる。スイカジュースなのに透明である。味はスイカバーをジュースにして炭酸にした感じ。悪くない。
 飛行機を待っていると昨日一緒にパブに行った泉州在住のアメリカ人の参加者と会う。彼も同じルートで帰国するらしいけれど、それぞれの経由地での待ち時間が短く、月曜日に帰国できるらしい。我々もそれが良かった。待ち時間の間は西田哲学の話などをして過ごす。空港でばったり会って研究の話をできるってすごいな。小さな街で国際学会を開くとこういうことがあるのだな。
 コークからヒースローへ飛ぶ。飛行機の最後尾右端の窓際の座席になる。アイルランド上空は雲で覆われていて、アイルランドの大地はコーク空港の周辺のごくわずかしか見えなかった。見えたものは牧場が多かった。グレートブリテン上空では雲がなくなってよく見えた。農地の間にポツポツ集落や街がある。ロンドンが近くなるにつれて大きな街が増えてくる。ロンドンは大きい。ロンドン塔やロンドン・アイがよく見えた。一回行ってみたいな。
 ヒースローに降り立つ。初めてのUK。とりあえず入国させられる。出国は隣のターミナルからなので地下道をてくてく歩いて隣のターミナルまで歩く。結構遠い。保安検査を受けて制限エリアのお店を見て回る。本屋にトールキンThe Fall of Gondolinがあったので一瞬買いそうになったけれどどうせ読まないからやめておく。まだ日本語に翻訳・出版された『ベルンとルーシエン』も買ってないからな……お土産物コーナーではトワイニング、フォートナムアンドメイソン、ハロッズなどが売っていた。ハロッズは日本よりも少し安く買えたのでアールグレイを買う。フォートナムアンドメイソンのアルビオンブレンドエクスプローラブレンド、セレブレーションブレンドを一缶ずつ買う。これだけでもう十分いいお値段なのでトワイニングは今回は買わない。いつかまた次の機会に……日本料理コーナーでは回転ずしとテイクアウトがあった。面白いのでテイクアウトのカツカレーを買ってみる。最近ロンドンではカツカレーが人気だと前にニュースで言っていた。ふたを開けてみるとルーがすごく少ない青ネギと紅ショウガ付きのカツカレーだった。カツのクオリティはまあ、安物のカツカレーぐらいだったけれど、このルーの少なさには閉口する。搭乗ゲートに向かう。飛行機の出発は少し後れる。
 ヒースローから香港へ飛ぶ。疲れが出て乗った途端に寝てしまった。機内食の間だけ起きて、また寝て、起きて機内食を食べる。行きの飛行機で飲んだコーヒーの薄さは特筆すべきものがあったが、今回飲んだ紅茶の苦さも同様だった。ハーゲンダッツに釣り合うおいしい飲み物を出してほしい。
 香港に着く。アジアだ。時間があるので広い空港内を見て回る。本屋は硬軟バランスよくいろいろな本が売られていた。坂本龍一の『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』の中国語版をはじめ日本語の本の翻訳も結構多かった。もちろん『三体』など、中国の本もいろいろあった。フードコートでホルモンのお粥を食べる。一度本場の中国粥を食べて見たかったのだ。生姜の効いたホルモンのお粥で結構おいしい。
 なんか香港らしいものも買って帰ろうかと思い、少し間抜けた顔の龍の刺繍の入ったティータオルとジャスミン茶を買う。茶ばかり買っているであるが、そういう趣味なものでして。アイルランドもイギリスも中国もいずれも値段は決して安くない。日本の物価が安すぎるのだ。
 搭乗ゲート前で待っているとだんだん眠たくなってくる。ぼんやりした頭でニュースを見ていたらスペインのサッカー連盟会長がセクハラで辞任していた。アイルランドバルセロナから来た学生から、会長がなかなか辞職しないので問題になっていると聞いたけれど、とうとう辞職したのだな。
 香港→関空は隣の席に人がいないので楽だった。離陸を待っていたら乗務員さんに声をかけられて、本日は日本人の乗客が少ないから日本語のアナウンスはないけれど大丈夫か、わからないことがあれば聞いてくれとのこと。大丈夫です。日本人客一人一人に声をかけているみたいだから、どうも相当少ないのだろう。機内は寒かった。機内食の軽食を食べるとき以外はブランケットをひっかむって寝ていた。
 早朝の関空に降り立つ。荷物も無事に回収する。道連れと話しながら一緒のところまで電車に乗って帰り、別れる。長旅お疲れ様でした。一人になってからは通勤する人で混んでいる電車の端っこでぼんやりとして過ごす。そうこうしているうちに家にたどり着く。長かった。飛行機の中ではずっと寝ていたのにまだ眠い。快適な環境で寝ないと、いつまでも眠気は抜けてくれないのだ。