2023年8月12日土曜日

 晴れの土曜日。日中は少し外に出ただけで危険を感じる暑さだった。
 昼寝をしたら手書きの書類をたくさん書き間違えてダメにする夢を見た。やだやだ。わざわざ夢で見なくても現実でしょっちゅうやってるんだから。
 春暮康一『法治の獣』硬質な文体で豊かなSF的想像力を表現するSF文学本流の作品が3つ収録されていた。いずれの作品も人間と想像の及ばない未知の存在とのファーストコンタクトが描かれる。人類は想像力が及ばない相手に対して、それでもやはり想像力を駆使しながら関わらなければならないのだ。第一作・表題作も良いのだけれど、第三作の「方舟は荒野をわたる」が特に良い。ここで登場人物の口から述べられる「人間が宇宙に与えられるものは何か」という問いへの答えは、とても良いと思う
 ところで
「方舟…」に登場する惑星が「イルヴァタール星系」の惑星「オローリン」なのはトールキン作品が由来だろうけれど、「イルヴァタール星系」は順当として、惑星の名前に「ガンダルフ」でも「ミスランディア」でもなく「オローリン」を選ぶのは渋くて良い。「オローリン」表記は作中にあまり出てこないから、僕も何だったかすぐに思い出せず、インターネットで調べて「ガンダルフの本名だ!」と思い出した*1。こうやって作品に描かれると、惑星「オローリン」という名前はとてもしっくりくる。響きもイメージも美しい。

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