2024年3月12日火曜日

 雨から曇りの火曜日。

 人文科学の専門家なら人の心がわかるだろうと期待されている節があるのだが、そんな魔法みたいなことができたらこんなことになっとらんですがな。

 人の心がわかりたいかと言われると、特にわかりたくもないというか、だって人の心の中なんてねえ。他人が毎日使い込んでいるスマホを渡されても使いたくないし、中身も見たくない程度には、他人の心なんて覗きたくない。見ても碌なことにならんやろうし。これまで通り、あなたは僕に伝えたいと思ったことだけを表現してくれれば、それで十分だと思う(僕に重大な損害を与えるような隠し事をしているのでなければ)。そもそも人間は表現されたものさえも十分に理解できていないのだ。僕はあなたが表現したものを十分に理解し、円滑に生きていけるように努める。それだけで十分でしょう。心というものは表現から遡行して推定されるものでしかないから、表現と解釈の研究に徹すればよいと思うのだ。

 出張先で話す準備を慌てて進めている。来年度日本の近代について授業をする予定になっているので、そのプロトタイプを話す。ざっくりと近代文学と哲学の接続をします。