2023年10月11日水曜日

 晴れの水曜日。
「この大学は卒業式の時にアカデミックガウンは着るの?」
「着ないですよ、そんなもん」
「え、うちは着るけど」
僕の出身研究科では卒業式や修了式でガウンを着る人はいなかったような気がするけれど、ここでは着るらしい。
 そういえば学部から博士まで、一回も大学全体の卒業式・修了式には行かなかった。学部の時は国際学会の準備スタッフの仕事が忙しかったから電車を乗り継いで市内まで行く元気がなく、部局ごとの卒業証書授与式だけ出た。修士はバイトの都合で何も出ていない。博士のときはコロナでディスタンスの時期だったので研究室で学位記をもらった。もしかしたら僕が知らないだけで卒業式の時にアカデミックガウンを着ている人もいたのかな。そういえば入学式も、出席したのは学部の時だけだ。その時は会場で、高校が一緒で工学部に進学した友達と一緒になった。彼と僕とは冬でも薄着仲間だった。しかし彼は僕よりもずっとレベルが高かった。僕はたかだか学ランを脱いでいるだけで、長袖だったけれど、彼は半袖だった。彼は半袖シャツの上に学ランを着て登下校する強者だったのだ。そんな我々も、入学式ではさすがにスーツだった。慣れないスーツを着ながら式場で左右を見渡したら、ジャージで出席している人が目に留まった。我々は「俺たちもあそこまではできねえな」と、上には上がいることをその時に思い知った。だからかどうかはわからないけれど、お互い大学生になってからは冬も着込むようになった。冬に会うたびに、「すっかり堕落しちまったな」と笑いあった
 今更ながら思うんやけど、昔の自分、奇行が多すぎないか。