2023年4月3日月曜日

 晴れの月曜日。
 野村日魚子第一歌集『百年後 嵐のように恋がしたいとあなたは言い 実際嵐になった すべてがこわれわたしたちはそれを見た』タイトルを見てちょっとでも興味を持った人はお買いなさい、悪いこと言わないから。大胆なリズムや凝った文字の配置が表現する「はみ出している人」感がすばらしい。現実と空想/生と死を表裏一体にすることでこの世界をサバイブしていくスタイルに共感する人も多いと思う。刺さる人には刺さって抜けなくなる面白い歌集だと思う。僕は面白かった。
 スーツを着て新任教員用の説明を聞いて研究科長から辞令を受け取る。頑張ります。終わったらそそくさと着替えていつものスニーカースタイルに戻り、荷物を運んで整理する。意外なほどたくさんクリアファイルが出てきた
 新年度のあれこれそれを済ましていると遅くなる。帰る。大して何もしていない気もするけれど、よく働いた気もする。荷物を運んだから腰は痛い。とりあえず明日はティーポットと牛乳と花瓶に活ける花を準備して自分の空間を整えましょう。
 カバーにくるまれて枕元に適当に転がっている文庫本たちがあり、「なんやっけ、これ」と確認したらその中に北村薫『空飛ぶ馬』があった。なんでこんなところにあるのかしら。
 小学校中学年で子供向けのシャーロック・ホームズ、アルセーヌ・ルパン、名探偵ポワロ、名探偵明智小五郎など→小学校高学年で松原秀行「パスワードシリーズ」→小学校高学年ではやみねかおる「名探偵夢水清志郎事件ノート」→しばらく推理小説を読み漁る→中学3年生で北村薫「円紫さんと私シリーズ」を読んで「文学」に興味を持つ、という経緯を僕は辿っている(もちろんそれ以外にもたくさん読んでいるけれど)。最近はあまり推理小説を読んでいないけれど、小学生のころに学校の図書室で手に取った推理小説の古典やジュブナイルミステリー、そして北村薫さんの小説なしに今の自分はありえない。子どもが名作を読める環境は大事だと思う。