2024年5月4日土曜日

 晴れの土曜日。暑い。

 明治生まれぐらいの人の随筆を読むとしばしば何の説明もなく人名がバンバン出てくる。今みたいにきちんと紹介したり、仮名にしたりすることがない。グループの新入りに昔の思い出話をする時みたいなノリで商業出版される随筆を書いているのだ。何か変だなと思っていたけれど、彼らはそもそもとして自分と無縁の人に向かって随筆を書いていないし、それが当然であることがだんだん納得されてきた。彼らは商業出版しているけれど、読者として想定しているのは同じグループの人なのだ。僕のようなグループと無関係な未来の人間が随筆を読むことは全く想定していない。むしろ今みたいに知らない人に宛てて随筆を発表することが一般的になっている環境こそが新しいものなのだろう。