2023年7月23日日曜日

 晴れの日曜日。皮膚に刺さるような日差しが痛い。
 妹が話題の『君たちはどう生きるのか』を見に行った。「ストーリーはよくわからないけれど面白かった」とのこと。見に行く気はあるかと聞かれたので、気が向いたら行くかもと返事をしたら「じゃあ行かないな」と言われて映画の面白かったところをいろいろ話してくれた。僕は別にネタバレとか何も気にしない。ストーリーやキャラクター情報を多少聞いたぐらいで作品に触れる楽しみは何も減らないと思っている。話を聞いた感じでは『君たちはどう生きるのか』は面白そうだ。
 暁方ミセイ『青草と光線』をようやく読み終える。とても良かった。善悪の彼岸の全てが平等に存在するところはどのようなものか。暁方さんはそれを果てしなく孤独に自己と向き合う場所として描く。詩集に描かれる自然は鋭く厳しいけれど、それゆえに最後に収録されたの「夕靄」の最後の一行は美しい。ただ、「あとがき」によると「夕靄」は収録作中で最も古いかもしれないらしい。作品配置的には「夕靄」の最後の一行が到達点のように見えたけれど、それはスタート地点だったかもしれないのだ。全てが平等に存在する善悪の彼岸では直線的にどこかに到達するようなことはないのだろう。自然は非情であり、しかし私たちにはこころがある。それゆえに善も悪も詩も生じるらしい。

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