2023年1月29日日曜日

 晴れの日曜日。弟がこっちいるうちに誕生日プレゼントをあげることにして近所の喫茶店に行く。カフェイン耐性が落ちてきてコーヒーは厳しいとのことだから焼き菓子にする。寒いから帰宅後も室内でもマフラーを巻いて上着を着っぱなしにする。もう少し暖かくなってほしい。
 何か本を読もうと思うけど文字が滑っていくばかりで何も頭に入ってこない。仕方がないのでぼーっと『王朝秀歌選』を読むと読まないの間あたりでパラパラめくる。いろいろすることはあるんだけどな。
 どんどこどんどこ色んな本を読める人のことはうらやましいと思うけれど、自分の身体はそういう造りになっていないのだとわかってきた。たぶんたくさんの本を読むには自分にいささか想像力が多すぎて、芸術家になるにはいささか足りない。それが悪いことだとも良いことだとも思ってはいなくて、それなりの想像力でできることをするだけ。僕は一冊一冊をゆっくり読んで、ちょっと癖の強い論文を書くのです。
 でも文字が滑っていくばかりとなるとどうしようもない。困ったね。そうこうしているうちに弟は帰る。次に会うのは3月の法事。またね。
 少しばかりメールアドレスを書き間違えたうっかりさんの対応をする。僕も何回かしているから何も言えないんだけど(その節は大変申し訳ございませんでした)、メールアドレス間違いは人に多大な負担を与えてしまう。そういうのはしんどい。
 母が珍しくビジネスメールを送らないといけなくなって、僕と父と妹にパソコンの使い方からメールの文面作成まであれこれ聞いてくるので頑張って答える。「メールは短ければ短いほど良い」と父と僕は言うのだけれど、妹はメールが短すぎて主語と目的語のないメールを送ってくる人に苦しめられているから「短ければ良いというものではない」と強く主張する。大変ですね。で、そういう解読困難な文章を書く人が「もっと本を読め」と言うんだと。地獄ですね。読んだつもりで何も読んではれへんのやろな。母はパソコンには疎いけれど、ものすごく細かいことに気が付く人なのであれこれそれと色々聞いてくる。答えるのもなかなか難しい。パソコンって大変。文章作成って大変。
 祖父の家に顔を出して従姉妹一家や祖父と会う。従姉妹はジャンボリーミッキーを踊っていた。マイブームらしい。祖父は僕にP.D. JamesやColin Dexterの話をするのだけれど、僕は一冊も読んでいないからわからない。どちらもイギリスの有名な推理小説作家で早川書房から翻訳が文庫版も出ているらしいのだけれど、ごめんね。海外ミステリはあまり読んでいないの。祖父には先日『ポワロと私: デビッド・スーシェ自伝』を貸しているのだけれど、『カーテン 〜ポワロ最後の事件〜』を視ていないからよくわからない、とりあえずクリスティーの『カーテン』を買ってきてほしいとのこと。スマホでポチポチ注文する。僕も『カーテン』はスーシェのドラマで視ただけで、読んではいないな。読もうと思ったことは何回かあったけど、いつも何かが少し足りなくてご縁がなかった。
 パラパラと川野芽生『月面文字翻刻一例』をめくる。幻想文学でぶん殴って想像力を蘇生する荒療治に挑む。川野さんの小説は古き良きイギリス幻想小説を思わせる重厚な世界観で、こういうのを大好物とする人も一定数いると思う。例えばマージョリー・ボウエンの「看板描きと水晶の魚」が好きな人には、お勧めできるのではないでしょうか。
 父はイヤホンを使わない人なので、父が音楽を聞いている間は音楽が家中に響きわたる。今日は古い洋楽を聞いていて、その中に『マツコの知らない世界』の印象的なオープニングの曲があることに気が付いた。ずっと『マツコの知らない世界』のbgmの曲とばかり思っていたから、これを機に曲のイメージが修正される。この曲はリンダ・スコットが歌う「星に語れば」らしい。知らなかった。